青森県における男女共同参画社会の実現を目指して活動する特定非営利活動法人です。

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私たちは県内で広く活動する会員のネットワークを活かし、
行政や企業、団体そして地域の皆さんとパートナーシップ
をとりながら、青森県における男女共同参画社会の実現を
目指して活動しています。



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   会報 第40号  2018年 4月      無断転載および印刷はご遠慮ください
                                 
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眼は大空に 足は大地に

                                 理事長 田 中 弘 子

 この言葉は、私が小学校卒業の時、恩師がアルバムに書いてくださった言葉である。私は仕事を退職して自分にご苦労さまと言ったとき、この言葉をこころに刻みながら、これからはゆったりした気持ちで花に水をやっていこうと思った。亡くなった父は、女男に限らず学びたいという意識を大切にしてきた人であった。昭和40年時代、女性である私が東京の大学に進学することができたのは社会学部の中にある社会福祉を学びたいと思った大学が東京にしかなかったからで、それを理解してくれた両親に感謝している。
 大学は私にとって常に問題意識をもつことを学ばせてくれた。そして今にして思えば、女(ひと)と男(ひと)をつなぐということ。学生運動時代の社会を通して社会を変えるエンパワーメントを学んだと思っている。
 当時、女性が働き続けるための就職先は限られていた。私が就職した自治体には女性係長が1名だった。社会福祉主事の資格があった私は、採用と同時に福祉事務所に配属されたが、大学卒業の若い女性にケースワーカーは務まらないという風潮の中で唯一「やらせてみよう」とおっしゃった上司により、ケースワーカー歴16年。この上司は「ケースワーカーは一人1億円の仕事をしている。机の上に1億円はないが、常にそのコスト意識をもって仕事をしてほしい」と。
 また、ある上司は10年先をみて仕事をすること。と教えてくれた。
 仕事への疑問や学習、提言をめざした仕事以外のメンバーとのつながりは今でも続いている。教育委員会へ異動してからは学校の教職員とのつながりも多くなり、生涯学習・社会教育の仕事を通してつながったメンバーは今でも全国規模でつながっている。当男女共同参画研究所のメンバーとのつながりは、地元新聞掲載の男女共同参画についてのシリーズ原稿の依頼からはじまった。私の最初の原稿は「お茶くみへの疑問」。まさしく「出会う・つながる・動き出す」とはこういうこと。苦しいことも楽しいこともみんな手のなかの宝石である。
 これからも生きやすい社会になるために、人間らしく働ける社会になるために、研究所のメンバーとともに進んでいきたいと思っている。


2017(平成29)年度
女(ひと)と男(ひと)をつなぐ 〜社会を変えるエンパワーメント塾〜開催

 2016(平成28)年度に引き続き2017(平成29)年度も、弘前市との共催と男女共同参画ネットワーク・津軽広域の後援を得て、2回の特別講座を含め全部で7回にわたるエンパワーメント塾を開催しました。

 「女と男のいい関係とは!生きやすい社会とは!どう取り組んでいけばよいのか一緒に楽しく学んでみませんか!!」と、呼びかけ、会員と一般の方々が参加しての開催となりました。毎回、講師の話題提供のあと熱心な話し合いがもたれました。

月 日 テーマ・講師
1 5月13日(土)
14:00〜16:00
特別講座 「妻が僕を変えた日~女と男のいい関係〜講師:広岡守穂 (中央大学法学部教授・NPO推進ネット顧問
2  6月17日(土)
13:00〜15:00
「おひとりさまの時代に向けて」
講師:佐藤恵子(NPO法人ウイメンズネット青森理事長・
          当法人理事、元青森県立保健大学教授)  
3  7月8(土)
13:00〜15:00
「相続・お墓の問題」
講師:工藤緑 (当法人理事)
4  8月19(土)
13:00〜15:00
親子で考えるキャリアデザイン」
講師:石岡百合子 (株式会社JOY代表取締役、当法人理事
5  9月9日(土)
13:00〜15:00
子どもたちの今
講師:山谷文子(青森県東青地域県民局 地域健康福祉部 部長
6  10月21日(土)
13:00〜15:00
秋田県の男女共同参画センター」

講師:佐藤文枝(前秋田県北部男女共同参画センター長・

        NPO法人あきた県北NPO支援センター常務理事
7  11月12日(日)
14:00〜16:00

特別講座 ブックトーク「女たちのサバイバル作戦

講師:上野千鶴子
(認定NPO法人ウィメンズアクションネット
ワーク(WAN)理事長、社会学者

会場:特別講座はヒロロ4階ホール、それ以外は弘前市の男女共同参画拠点施設である弘前市民参画センターです。


 


1 特別講座「妻が僕を変えた日」
  
   2017年度の第1回は広岡守穂さん(中央大学法学部教授、NPO推進ネット顧問)の
   特別講座でした。5月13日(土)にヒロロ4階ホールで開催しました。

 広岡さんは親の反対を押し切って中学時代の同級生と学生結婚し、仕送りが止まったなか、自分で稼ぎ、妻と共に5人の子どもを育てました。
 しかし子育て中の妻は「社会の風に当りたい」「このままでは干からびてしまうような気がする」「私の人生はこれからどうなるんだろう」とこぼすようになりました。力を合わせて子育てに頑張っているつもりでも、相手が見えていなかったのです。妻は赤ちゃんと一緒にいて幸せだと勝手に思っていました。
 しかし広岡さんは、妻が「自分育て」を求めて苦しんでいて、「もし妻が自分育てをしたいと思っていたら、真っ先に夫がバックアップしなければ、いったい誰がバックアップするのだろうか。」と気づきました。そう気づかされた日が「妻が僕を変えた日」です。
 長女が結婚しようとする男性を紹介した時に、広岡さんは彼にこう言いました。
「ひとつだけ頼みがある。わたしはきみに娘を守って欲しいとは言わない。娘は自分で自分を守ることができる。ちゃんとした子に育てた。自分はその自信がある。だけど、これだけは守って欲しい。きみ、娘の生き方は、ちゃんと守れよ。」

   

男女共同参画とは、夫婦であれば、おたがいにお互いの自分育てを支え合う。
 職場であれば、そこに努めているすべての職員の自分育てに対して、きめ細かな配慮をする。
 なにより政治が、行政がそこに住むすべての人にせめて公平に自分育てのチャンスを提供すること。
 女だから男だから、年を取っているからとか障がいがあるからという理由で自分育てのチャンスを奪ってはいけない。
 デモクラシーの原点であり、男女共同参画は深いところでデモクラシーと結びついているのです。

 
   
2 おひとりさまの時代に向けて

  2017(平成29)年6月17日の佐藤恵子さんの資料は以下のとおりです。
   
 1.「おひとりさま」ってどんな人?
 (1)「おひとりさま」のイメージ
 (2)「おひとりさま」の意味と由来 〜単身(ひとり)で暮らしている人の総称
 (3)様々な「おひとりさま」
    ○未婚単身者:親元から離れて就学・就労している若年者、シングル(非婚)志向の人・・
    ○高齢単身者:配偶者と死別・離婚し、高齢になってもこども同居せずひとりで暮らす人・・   
  ○その他単身者:離婚・死別でひとりになった人、長期間単身赴任している人・・              
 
 2.誰もが「おひとりさま」の時代へ
  (1)「おひとりさま」はどれぐらいいるのだろう?
    *世帯類型別世帯数と構成割合 (平成27年国勢調査結果)

                            【全国】(単位千)     青森県】  
  総世帯数(一般世帯)        53,332(100%)       509,241(100%)      
  単独世帯              18,418(34.5%)          153,443(30.1%)    
  核家族世帯             29,754(55.8%)          271,241(53.3%)     
  その他の世帯(3世代他)     4,561(8.6%)          83,082(16.3%)                   

  (2)「おひとりさま」はもう当たりまえの存在になっている
   *「おひとりさま」は生き方(ライフスタイル)の多様化の象徴
      ・家族を中心(前提)にした生き方 → 個人を尊重する生き方へ
      ・人生のどこかの時期で誰もが「おひとりさま」になる可能性がある
 
 3.私の身近な「おひとりさま」から学んだこと
    *【母】【友人】【息子】の生き方
    ・ひとりで生きる勇気と清々しさ
      ・「おひとりさま」は自分らしく生きる最高のロールモデル(生き方のお手本)
    ・自分らしく生きるとは:自分の意思で、自分のペースで、自分の力で生きること
    ・「孤独」と「孤立」はちがう
 
 4.「おひとりさま」を生きるために大切なこと
   *経済力(お金)と生活力(家事)は大前提
    @人とのつながり    A生きがい   B情報    C覚悟
 
 おわりに   自分の人生を自分らしく生きていこう! 私と男女共同参画のかかわり
 1)専業主婦になって(1975年〜)
 2)家庭教育、婦人教育へのかかわり(1980年代)
 3)大学教員になって(1990年代)
 4)男女共同参画行政へのかかわり



3 「相続・お墓の問題」     
2017(平成29)年7月8日  工藤 緑


 1.相続
  相続についての基礎知識を学びトラブルを回避しましょう。
  (1)法定相続人と法定相続分
   ・相続の順位 ・代襲相続 ・相続欠格事由 ・相続放棄 ・遺産分割協議
   ・行方不明者 ・失踪宣告 ・不在者の財産管理人
  (2)遺言
   ・公正証書遺言 ・自筆遺言
 
 2.お墓
 お墓の名義人が亡くなったとき、そのお墓をどうするのかということが問題になります。
 日本では古くから、配偶者やその家の長男が引き継ぐことが一般的とされていましたが、少子化や核家族化が進む現在の日本では、それが難しくなり、お墓の承継者がいないということになってしまうケースも少なくありません。そこでお墓の承継についての基礎知識をまとめてみました。

(1)檀家制度
(2)墓じまい
(3)墓地、埋葬等に関する法律
(4)永代供養墓



4 「親子で考えるキャリアデザイン」
   2017(平成29)年8月19日  石岡百合子
                                 
1.県内外就職状況

有効求人倍率と完全失業率(平成16年〜28年12月)
 2008年9月にリーマンショックが起き、有効求人倍率は2009年の7月には0.43倍まで下がった。この数字は有効求人倍率の統計が始まった1963年以来、過去最低の記録であり、就職氷河期とも呼ばれ、大学を卒業しても就職できない若者も少なくなかった。その後回復し、現在も緩やかに上昇を続けている。高校生の就職率はほぼ100%になり、保護者としては一安心したいところだが、若者の離職率は依然として高いということも忘れてはいけない。
 グローバル化が進んだ社会での教訓として、いつどのような大きな波が来ても生き抜いていけるようにするためには、受け身の進路指導から脱却し、主体的に進路を選択できるキャリア教育への切り替えが必要であると考える。
 
平成28年度 高校生の有効求人倍率
全国平均 1.75倍
青森県  0.95倍
宮城県  1.31倍
東京都  1.97倍

高卒者の就職先
産業      求人数   増加率
製造業     90,638  20.4%
卸売・小売業  34,989  26.0%
医療・福祉   33,297  10.9%
宿泊・飲食   18,558  22.7%
サービス・娯楽 17,484    9.6%

高校求人の流れ
7月1日〜求人票公開(就職希望企業を選定する)
7月中旬〜職場見学(学校を経由して企業へ申し込む)
9月5日〜応募・学校の推薦(応募書類作成、学校経由で応募)
9月16日〜選考開始・入社試験(適性検査・筆記試験・面接試験)
9月下旬〜追加募集時期(募集を終了していない企業を受験)
 
 適正で公正な就職の機会を与えるため、協定により1社のみの応募、企業側からの直接的な関わりは禁止などのルールがある。高校3年時に自己決定するためには、かなり早い段階で自らのキャリアビジョンを描くことが必要である。

2.進学
 進学の目的には、職業の専門技能を身につける、必要な資格を取得する、将来の選択肢を広げるなどがあるが、「好き」「イメージ」だけで選ばず、卒業後の職業を視野に入れることが必要である。奨学金の利用者は増加傾向にあり、利用率は51.3%に上っている。様々な種類があるが安易な利用も危惧される。

進学・就職お金事情
学生生活1年当たりの支出平均(授業料+課外活動費+通学費用+生活費)
  自宅通学:168万円   自宅以外:218万円

奨学金の返還例(第二種)
貸与月額      50,000円
入学時特別増額 500,000円
貸与総額     2,900,00円
月賦返済額     18,424円
返還回数      204回
返還期間(卒業年10月〜)17年間

新規学卒者の3年以内離職状況
高 卒 40%
短大卒 41.5%
大 卒 32.3%
 若者の早期離職が社会問題になっているが、新規学卒者の3年以内の離職が全国平均で40%を超え、青森県では高卒者は50.3%にも上っている。大卒でも30%以上が離職しており、奨学金の返還にも影響がある。返還を延滞すると、債権回収会社による督促・延滞金・保証人(親)に請求・個人信用情報機関に登録になるなど、親子共に将来に大きな悪影響を及ぼすことになる。

3.「辞めたい」と言われたら
@冷静に詳細に話を聴く
A振り返り、理由を明確にする(先輩や上司に相談する、まだできることはないか)
そのうえで重要になるのが自己決定させることである。保護者セミナーで話を聞くと、子供が辛そうにしていたら「辞めなさい」と言ってしまうと答える方が大多数である。体調不良にまで追い込まれている場合は退学や退職準備を手伝うが、それ以前に冷静に現実を見極めることが肝心である。

仕事を辞めたい理由
・仕事が思っていたのと違った。 
・自分が役に立っていないのが辛い。
・上司の指示が曖昧でよくわからない。
・頑張っているのに怒られる。
・職場で話の輪に入れない。
・友達の会社の方が条件が良い。
・もっと他の仕事を経験してみたい。
 仕事を辞めたい理由には深刻とは思えないものも多い。適切なアドバイスがあれば、本人が成長するチャンスにもできる。

家族のサポート
・真剣に話し合える環境をつくる(話を最後まで聞く)
・積極的に情報収集する
・冷静に客観的に判断する(意見は質問の形が効果的)
・反対する勇気も必要
・最終的に本人に決断させる

進路選択は社会人へのステップ
・相談する姿勢(自分の意見を持つ)
・人の話を聞く姿勢(人を尊重する)
・論理的に考える能力(事実と感情)
・自分で決断する能力(自己責任)
・自己管理能力

 進路選択は社会人へのステップである。以下は社会人として必要とされる能力であるが、これらを高校卒業までに身に付けていない者が多いと実感している。早い段階から子供たちの主体性とキャリア意識を育てる教育が必要である。

5 子どもたちの今            2017(平成29)年9月9日   山谷文子

 2016年度に全国の児童相談所が対応した児童虐待件数は全国39都道府県で増加し、前年度比18.7%の増12万2578件にのぼり、統計の残る1990年度から26年連続で最多を更新している。
青森県においても前年度比約3%増の過去最高949件の相談対応件数だった。
 虐待への社会的関心が高まる中、家庭内暴力を子どもが目の当たりにする「面前DV」で警察からの通告が増えており、「面前DV」を含む「心理的虐待」が虐待の半数を占めていることなど、虐待相談の種類や実情と虐待に対応する児童相談所の人員不足の現状について説明した。
 「189(いちはやく)」という、児童相談所の全国共通ダイヤルでつながった通報も運用開始の2015年度には3万件だったのが2016年度には5万4千件を超えて社会的にも関心が高まっていることが裏付けられている。
 虐待相談の増加の背景には警察に対するDV事案の相談件数の増加や配偶者暴力相談支援センターにおける相談件数の増加がある。
 虐待が子どもに与える影響については、脳の発達への影響が近年注目されている。
 全国的にも先進的・特徴的な取り組みをしている中核市の例などを説明したうえで、参加者との活発な意見交換が行われた。




6 秋田県の男女共同参画センター   2017(平成29)年10月21日
 
  NPO法人あきた県北NPO支援センター常務理事、あきたF・F推進員                           
                     (大館市在住) 佐藤文枝

 男女共同参画社会とは、「男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会」です。(男女共同参画社会基本法第2条)内閣府HPより
 この社会の実現のために、全国に都道府県立の男女共同参画センターが49施設あり、ほとんどが都道府県域単位で1か所の施設が置かれている。そんな中、複数施設があるのは、秋田県と山梨県である。秋田県では3か所、北部(大館市)中央(秋田市)南部(横手市)に設置されている。
 平成29年度から県の所管は、男女共同参画課からあきた未来創造部 次世代・女性活躍支援課となった。
 センターの主な活動として
・ハーモニープラザ祭り
・地域サポーター養成講座
・子育て支援事業
・高齢者支援事業
・男女共同参画社会づくり基礎講座
・女性チャレンジ事業
・地域ネットワーク会議(年2回)
・利用者懇談会(年2回)
 そして、29年度は内閣府「日本女性会議2016秋田」が開催された。
全国から秋田県へたくさんの方が見え、皆で考え、感じ、何が大切なのかを共有した大きな事業であった。
 各センターでは、試行錯誤して、事業名からどのような内容で開催したらよいか、地域性、今この地域で必要な情報提供はなんだろうか。それを考えながら毎年の事業をすすめている。中でも各センターでは少ない職員でどうやって事業をしていくかは、課題である。そこで活躍・協力するのが「あきたF・F推進員(F・Fとはfifteen・fifteen)」である。
 秋田県では、各市町村における男女共同参画に関する施策・事業がより効果的に行われるよう、地域における推進的役割を担う人材を「あきたF・F推進員」として養成している。一年間の研修を終え、レポートを提出して、県から任命される。5年に一度の更新となる。 現在約90名の「あきたF・F推進員」がそれぞれの地域で活動している。女性が7割を占めている。男女半々が理想。このF・F推進員がいないと各事業が滞ってしまうのではと言っても過言ではない活躍をしている。
         
 

7 ブックトーク「女たちのサバイバル作戦」   2017年(平成29)11月12日

 2011(平成23)年7月16日に、NPO法人青森県男女共同参画研究所10周年記念事業として、上野千鶴子さんを講師にお迎えし“ブックトーク”「日本の女性史・あゆみとくらし」をスタートし、その後「おひとりさまの老後」「当事者主権〜自分のことは自分が決める」「何を怖れる」「おひとりさまの最期」に引き続きブックトークシリーズ6回目となる「女たちのサバイバル作戦」を開催しました。
 これまでの女性が置かれてきた状況を知り、女(ひと)も男(ひと)もこれからの働き方、生き方を一緒に考える機会になった会場には、20代の学生から高齢の方までと年齢層も広がり、男性が回を重ねるごとに増えてきて150名の方が来場されました。
 

{講演内容}
 国際ランキングにおける日本女性の地位は2016年114位(2011年98位)にまた下がった。女性は意思決定権をどれだけもっているのか。女性参政権は政治を変えたのか。女性参政権70周年。保守1党を支えてきたのは女性票。なぜなら家族票の1部だったから。
 なぜ女性政治家は増えないのであろうか。市川房枝さんの遺言は「権利の上に眠るな」。

 202030とは2020年までにあらゆる分野に おける指導的地位の女性の割合を30%にするという目標であるが、クォーター制導入法案で男女同数にすることで組織文化が変わっていく。
 女性活躍推進法は罰則規定もなく均等法+派遣事業法の二の舞になるのではないか?
 この40年を一言でいえば「ネオリベ=新自由主義」改革の時代といってよい。自由競争を制約しそうな規制を緩和しようとする立場のこと。ネオリベの進行にともなってナショナリズムが強化される一方でジェンダー平等政策も推進される奇妙な関係がある。ネオリベ改革が「男女共同参画」を推進した理由は女に働いてもらいたい、そして子どもを産んでもらいたいから。
 ワーク・ライフ・バランス政策がその象徴であり、これは女・子どもにやさしい政策なのか。労働政策であり少子化対策である。長引く不況と激化する国際競争に生き残るため「雇用柔軟型」でワリを食ったのが若者と女性で、職業コストを払わずにすむ/優秀な女性を低賃金で雇うことができる使い捨て労働力?
 ネオリベ改革は男性間の格差、男女間の格差を拡大し固定化したが、それに加えて「女女格差」をもたらした。機会均等の競争に参入することで女の間にも勝ち組・負け組が生まれた。
 結婚する人しない人。結婚しても仕事を続ける人続けない人。仕事もフルタイムで働く人パートや派遣で働く人。
 育休法はできたがその効果がなかった理由は、子産み時の年齢層に非正規雇用が増えてしまったため育休法が適用されず出産離職が現実である。
 「使い捨て」労働力により非婚化と少子化が予想以上に進んだ。このまま女性を差別し続ければ日本企業はグローバル競争に負け「巨艦日本丸」は沈没か?変化が求められているのに変化のドライブがかからない。
 ネオリベ改革は「男仕立て」のルールのもとの競争に女が参入してもよいという「機会均等」。
このルールそのものが間違っているのではないかと考えないのか?女にとってもともと不利な
競争なのに、その結果を自己責任と思い違いさせられているのではないかと?
 女たちのサバイバルのための処方箋は、労働時間の短縮・年功序列制の廃止・同一労働同一賃金の確立。働き方を考えることは人生のバランスシートを考えることである。

「男女共同参画普及啓発事業 講演会」兼「中南地域男女共同参画ネットワーク 学習会」
                             2017(平成29)10月28日
 名もなき家事
 〜家事負担、夫の気持ち・妻の認識〜これからの働き方・生き方を一緒に考えてみませんか!
男女共同参画ネットワーク・津軽広域、(弘前市、黒石市、平川市、藤崎町、大鰐町、板柳町、西目屋村、田舎館村)、市町村担当者ネットワーク会議(弘前市、黒石市、平川市、藤崎町、大鰐町、板柳町、西目屋村、田舎館村)、青森県男女共同参画センターの3者が主催し、「名もなき家事」をテーマに講演会・学習会を開催しました。
 男女共同参画ネットワーク・津軽広域の平成29年度の事務局を当研究所が担当していることから、テーマ設定・講師選定等を弘前市と連携・協働のうえ決定し、開催しました。
 ファシリテーターは当研究所理事の石岡百合子さんです。概要は以下のとおりです。
   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 本日のタイトル「名もなき家事」は、ご存知の方も多いと思いますが、大和ハウス工業が2017年5月に発表した、共働き夫婦の家事についての意識調査で話題になりました。「料理」「掃除」「洗濯」といった呼び名がはっきりとしていない家事のことです。
 例えば、「料理」には、献立を考える、食材の買い物、管理、米研ぎ、調味料の補充、ふきんの交換、食卓テーブルの片付け、排水口の掃除......など、細かく多様な家事のことです。
 このような細かく多様な家の仕事についての「家事だと思うか」という問いには、30項目のうち、18項目で、妻の認識が高い結果となり、妻が日常的に頑張っているにもかかわらず、夫が家事だと認識していない「名もなき家事」の存在が明らかになりました。
 また、家事分担の割合について、夫の気持ちは3:7で家事分担していると答えているのに、妻の認識では1:9でした。つまり自覚している分担量にも大きなギャップがあることがわかりました。
 今や「出産後の仕事復帰」が女性にとっても当たり前の選択肢となりながら、いまだに孤軍奮闘、「家のこと」を頑張る女性たちの姿が浮かんできます。
 
 本日は現役のイクメン、イクボスの齊藤さんから、ご自分の体験も含めた活動の現状と、日本の若者の未来につながるお話をいろいろ伺います。
 
 
講演会「笑顔のパパが家庭と地域を変える」
 講師 NPO法人 ファザーリング・ジャパン東北 理事 齊藤 望(さいとうのぞむ)さん

 

 

ワークショップ「私たちにできること」
               〜石岡百合子さんファシリテーター
  大きな目標は男女共同参画社会の実現であり、そのプロセスにイクボスや男性の家事参画への理解を広めることなどがあるのだと思います。
 様々な阻害要因はあると思いますが、「私たちに何ができるか」それぞれの立場から、家庭で、企業で、地域社会で、普段実践していることや知恵を出し合って、ぜひ前向きで建設的な意見交換をしていただきたいと思います。
 女性たちは、ただ単に男性に家事を「手伝って」欲しいわけではなく、対等な存在として認めて欲しい、一緒に家庭を築いて行きたいという思いが根底にあるようです。
 社会を変えるのは簡単なことではありませんが、確実に変わってきたし、これからの変革のスピードは想像以上に早いかもしれません。
 これからの社会を担う若者たちのために私たちにできることについて、様々なアイディアやご意見が出ました。私たちにできることの1つとして、これから齊藤さんたちの活動を支援していきましょう。